事業承継 後継者の方にも必読 事業承継に潜む様々なリスク

事業承継

この記事では、後継者へ事業承継をする際に一度は確認しておいてほしいリスクや対応策ついてまとめておきたいと思います

特に、普段から経営に追われて忙しい経営者の方にはぜひ目を通していただけると幸いです

1. 事業承継の準備の前に


「事業承継」を進めるには、どんなことに気をつけたらいいの?

会社を経営されている社長様から、このような質問を受けることがあります

事業承継について皆さんはどんなことに気をつけていますか?

事業承継といっても何となく意味は分かるものの、どんなところにリスクがあるのか漠然としていて分かりづらくないですか?

事業承継は、会社にとっては企業の存続と発展を左右する重要な決断をすることになります

会社の将来に関わるイベントですが、その裏には様々なリスクが潜んでおり、事前に把握しておく必要があります

この記事では、事業承継が抱えるリスクをいろんな角度から洗い出し、事業承継を成功させるためのポイントについて紹介していきたいと思います

2. 後継者に関するリスクとは?

(1)後継者不在のリスク

まずは、後継者に関するリスクから確認していきます

事業承継の入り口として、まずは後継者がいるかいないか、という問題をクリアする必要があります

当然ながら、後継者が不在の場合は、企業は存続の危機に瀕します

(2)経営に必要な能力を備えていないリスク

後継予定者がいる場合でも、長期的な視点で後継者育成に取り組むことが重要となります

なぜかというと、

後継予定者がいたとしても、後継者が経営に必要な能力を備えていない場合は、企業の業績が悪化する可能性があるからです

経営者に向いている性格など、だれにでも向き不向きはありますよね?

性格などの向き不向きはあっても、一定の対策を講じることって、必要な能力を身につけることはできます

具体的には、後継者向けの育成塾などにより、能力開発のための教育プログラムやOJTなどを繰り返し実施する方法があります

(3)価値観の違いによるリスク

また、現経営者と後継者との間によくある問題として、世代間の価値観の違いによるリスクがあります

これは、現経営者と後継者との間で、経営理念や企業文化に対する価値観が異なることが発端となります

現経営者と後継者では、育った時代や環境も違いますから、物事を考える前提が違って当然ですよね

ですが、いざ事業承継となると、現経営者の考えが優先されがちになり、後継者の考えをしっかり聞き入れている会社は少ないのではないでしょうか?

対策としては、十分なコミュニケーションを図り、相互理解を深めることが挙げられます

相互理解と言っても言葉で言うことは簡単ですが、この部分がとても重要で時間がかかるんです

これまでの経験では、この部分に悩んでいる経営者の方が非常に多かった気がします

非上場の中小企業では、親族承継をすることが多い傾向にあります

ですので、普段から会社経営に忙しい親から子などへ話をする時間を作り、腹を割って話をするのはとても難しいんですよね

ですが、場合によっては、企業の方向性が大きく変わることにもつながりますので、安易に考えず真剣に考えてみる必要があります

3. 会社内部に潜むリスクとは?

(1)従業員のモチベーション低下リスク

事業承継を進めるにあたっては、後継者に関するリスクだけではなく、実は会社内部にもリスクが潜んでいます

会社内部に潜むリスクとしては、従業員のモチベーション低下リスクがあります

どんなリスクかというと、経営者が交代することで、従業員の不安や不満が募り、モチベーションが低下する場合があるというものです

従業員の中には、急に経営者が交代し、経営方針が変わってしまうと、後継者の考えについていけない方が一定数います

そうならないためにも、事前に従業員へ十分な説明を行い、不安を解消しておく必要があります

(2)社内対立のリスク

次に想定できるのが、社内対立のリスクです

具体的には、後継者争いや派閥争いが発生し、社内が分裂する可能性があるというものです

後継候補者が複数いる場合には、公正な後継者選定プロセスを確立し、透明性を確保することが重要です

これまでの経験では、後継候補者の兄弟間で派閥争いが発生してしまい、重要な契約をライバル会社に取られてしまっただけでなく、幹部クラスの従業員が退職してしまった会社がありました

(3)ノウハウ承継不足のリスク

その他には、ノウハウの継承不足のリスクがあります

何かというと、経営者が持つノウハウが後継者に十分に引き継がれない場合、企業の競争力が低下する可能性があるということです

特に、カリスマ経営者の次の経営者は、先代が築き上げてきた人脈や技術などを承継するのは時間がかかるだけでなく、若い後継者にとってはかなりハードルの高いものとなります

対策としては、制度的なノウハウの継承策を講じるため、マニュアル等の作成がないような内容については、可能な限り形式化しておく必要があります

4. 会社外部に潜むリスクとは?

(1)取引先との関係悪化のリスク

会社外部にも事業承継のリスクは潜んでいます

事業を行うには必ず取引相手が存在しますよね?

そうです、販売先や仕入先、外注先などの「取引先」です

そんなことがあるの?と思われるかも知れませんが、

取引先との関係が悪化してしまうリスクがあるんです

何かというと、経営者が交代することで、取引先との信頼関係が損なわれ、取引が中断される可能性があるというものです

具体的には、取引先の社長が経営者と同じくらい世代の場合によくある話なのですが、取引条件などで取引先から何らかの配慮があったとしても、経営者が変わったとたんに白紙になってしまい、信頼関係に亀裂が生じ、取引解消へ発展するといったことです

息子世代の後継者に交代する前に、過去の口約束などで重要な内容があるのであれば、事前に取引先に状況を説明し、関係維持に努める必要があります

(2)競合他社の動きによるリスク

また、取引先とは別に、ライバル会社などの競合他社の動きによるリスクがあります

これは何かというと、事業承継の期間中に、競合他社が市場シェアを拡大する可能性があるということです

先ほどご紹介した、会社内部のリスクでも触れましたが、競合先としてはシェア拡大の好機と捉え、事業承継をしている会社の隙を当然ながら狙ってきます

そのため、集中的に事業承継計画を迅速かつ円滑に進める必要があります

(3)経済環境の変化によるリスク

また、事業承継の期間中に、経済環境が大きく変化し、事業計画が頓挫する可能性があります

そのため、複数のシナリオを想定した事業計画を策定する必要があります

5. 法律・税務に関するリスク

(1)相続税・贈与税の負担リスク

自社株や不動産などの事業用資産を承継させるためには、後継者は税務コストを負担する必要があります

純資産を豊富に保有する会社においては、事業承継に伴い、高額な相続税や贈与税が発生する可能性があります

そのため、税理士などの専門家と連携し、適切な税務対策を講じておく必要があります

(2)会社法違反のリスク

事業承継の手続きは、会社法というルールに基づいて行う必要があります

そのため、手続きに不備があると、会社法違反となる可能性がありますので、注意が必要です

自社株の贈与手続きなど、自社で行う方もありますが、会社法上の手続きをきちんと踏んでいない場合を多々見かけます

親族間で争いが起きた場合に備え、弁護士や司法書士などの専門家と連携し、法的な手続きを正確に行う必要があります

6. その他のリスク

(1)家族間のトラブルのリスク

家族経営の場合、相続問題や財産分与をめぐって家族間のトラブルが発生する可能性があります

特に、後継者以外に事業に関与していない相続人がいる場合は、財産分与において揉める場合が多いです

そのため、事前に家族間の話し合いを密に行い、合意形成を図ることや、遺言を作成しておき、事業用資産が後継者に集約できるよう対策を講じておく必要があります

過去の経験では、親族間で争った結果、廃業に至った事例もあります

下記の記事に詳細をまとめてありますので、参考にしてください

親族間のトラブルの結果、廃業に至った事例の記事より

(2)M&Aにおけるリスク

後継者が見当たらなく、M&Aによる事業承継を選択する場合でも、買収後の経営統合がうまくいかないリスクがあります

M&Aにおける経営統合については、以下の記事でまとめていますので、参考にしてください

PMIの記事より

対策をするには、M&A専門家と連携し、慎重に進める必要があります

7. まとめ


これまで事業承継に関する様々なリスクをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

ご自身の会社にも似たようなリスクがどれか該当するのではないでしょうか?


事業承継のリスクを最小限に抑え、成功させるためには、

早期からの準備がとても有効になります

事業承継は、早ければ早いほどスムーズに進めることができるんです

具体的な相談については、事業承継に詳しい税理士、弁護士、経営コンサルタントなど、専門家のアドバイスを受けることが重要です

従業員とのコミュニケーションを深めるには、従業員への説明会を開催し、不安を解消する必要があります

親族間だけでなく、従業員へのフォローも忘れずに!

後継者の育成には、後継者の能力開発に力を入れるとともに、経営ノウハウの継承を図る必要があります

後継者の育成には時間がかかりますが、肝心なことを伝え忘れないようにしてください

事業計画の策定を行う際は、複数のシナリオを想定した事業計画を策定し、柔軟に対応できるようにしておく必要があります

事業承継計画を策定する際は、あまり細かいことまで決めず、大まかな方向性を検討しておく程度でも構いません

事業承継は、企業の未来を左右する重要な決断です

この記事でご紹介したリスクを踏まえ、慎重かつ計画的に事業承継を進めていきましょう!

最後までお読みいただきありがとうございました!!

不定期になりますが、皆様の会社の事業承継が円滑に進むと幸いです

おわりっ

コメント

タイトルとURLをコピーしました