M&A業者等からの提案に対し、一定の牽制が可能となる5つのワードを厳選してご紹介!!
この記事では、しつこい営業の対処に役立つワード第一弾として、「M&A支援機関」についてご紹介します
1.M&A業者からの営業は巧妙化している!
最近、相談をいただく先から出る話題として、「M&A業者からのDMや電話が巧妙化している」というものがあります
具体的には、
- 経営者の「自宅」へDMが発送されてくる
- いかにも社長の知り合いという前提で電話をかけてくる
- 「手書き」のようなDMで「○○会社の○○会長が御社に興味がある」という記載がある
- 「○億円」で御社を買いたいとおっしゃる会社があります!
などなど
私が新規でお邪魔をさせていただく先からは、上記のような営業のアプローチがあるというお話が多くあります・・・
経営者の中には、これまで届いたDMをご丁寧にもすべて段ボールに保管されており、私にDMやお手紙を見せていただける先もありました
(他業者の分析にもなりますので、私にとっては大変ありがたいです・・・)
そういった中で、「何かいい対応方法はないかな?」というご相談をいただくことが多くがあります
私からの回答としては、皆様に対して
「業者が嫌がるワード」や「経験者だと分かる(相手が身構える)ワード」をお伝えしてみてください
という内容を毎回お話している気がします
これから、上記のようなお悩みを抱えてみえる方へ参考までにキラーワードとなる「5つのワード」をシリーズ化して厳選してご紹介していきたいと思います
それではまず、第一弾として「M&A支援機関」についてお伝えします
2.「M&A支援機関」とは
「M&A支援機関」って何?という方もみえるかと思いますので、簡単にご紹介しておきます
こちらは、2021年8月に経済産業省(中小企業庁)が創設したもので、
一定のルール(中小M&Aガイドライン)を守って業務を行う業者を登録制にし、
- 登録した業者へ支払う仲介手数料を補助金で賄えるようにする
- クレームなどを通報できる「情報提供受付窓口」を創設
の2点を内容として盛り込んだ制度です(アメとムチのような制度です・・・)
M&A業界というのは、不動産業界でいうところの「宅建協会」のような規制団体がなく、無法地帯と化している状況でした
そこでとりあえず規制をかけようということで「M&A支援機関」という名称で国がM&A業者に対しお墨付きをしたわけです
ところが、いわゆるブローカーなどの業者からの苦情やクレームが一向に減らないため、
2024年4月からルールの改訂(中小M&Aガイドライン(第2版))が行われており、
中小M&Aガイドライン改訂(第2版)とM&A支援機関登録制度の対応事項に関する解説動画 | M&A支援機関登録制度 (ma-shienkikan.go.jp)
外部リンク先:中小企業庁 M&A支援機関登録制度 HP
- 不動産業界にもある「重要事項説明」などを必須とする内容
- 広告規制等を盛り込んだ内容
へ変更されました
また、2021年10月に「M&A仲介協会」なる自主規制団体を大手上場M&A会社6社が主体となり立ち上げており、2024年3月から広く会員の募集を開始しています
大手仲介業者や金融機関の中で、ルールを守ってきちんとした業務を手掛ける先は、会員となっていますので、M&A仲介協会のHPから確認が可能です
外部リンク先:一般社団法人M&A仲介協会 HP
M&A業界では、不動産業の宅建業法ように「許認可制」ではなく、まだ「登録制」の段階ではあります
ですが、上記協会に属しているか否かで、「ホワイト業者」なのか「グレー業者」なのかという一定の選別(線引き)がユーザー側からできるようになりました
上記の出来事は、M&A業界にとっては
「歴史的な転換期を迎えた」こととなっており、
M&A業者(ホワイト)として業務をしていくためには、アドバイザー含めM&A業者は一定の規定を遵守しなければなりません
ですので、4月以降では大手業者のテレビCMによる広告が減っていたり、DM等の勧誘も減少しているかと思いますが、皆様の会社に対してはいかがでしょうか?
3.しつこい営業にはキラーワードで対応
以上のことから、DM到着後のしつこい営業電話がまだ継続しているようでしたら、
キラーワードとして「おたくはM&A支援機関に登録されていますか?」とまずはお伝えいただき、
それでも悪質な勧誘が継続するのであれば、
「不適切な事例として情報提供受付窓口へ通報しますよっ!」
とお伝えいただくことでかなりの確率で牽制ができるのではないかと思います
なぜかと言いますと、不適切な業者として通報があった場合、
国(中小企業庁)としては、登録事業者から取消することを要領として明記しているからです
M&A業者へのペナルティとしては、
- M&A業者の仲介手数料が補助金対象から外れてしまう
- 取消から2年間再登録ができない
- HPにて業者名が公表されてしまう
といったものがあります
M&A業者からすると、これらのペナルティが課された場合は非常に厳しい状況下におかれますので、非常に嫌がります
万が一、実際に通報をされる場合は、上記引用の専用フォームからでも構いませんが、
電話でも通報可能です
受付窓口は下記↓の通りです
<M&A支援機関登録事務局内 情報提供受付窓口>
TEL :03-4577-6532
受付時間:平日 10:00~17:00
4.「M&A支援機関」の実態は?
では「M&A支援機関」に登録している先の実態はどうなのでしょうか?
少し前の公表データになりますが、中小企業庁の財務課が公表した2021年4月~2022年3月末までの実績データがありますので、ご紹介しておきます
ここでポイントとなるのが、次の2点です
- 2022年3月末時点では、個人事業主を含め2,823者の登録があるという点
- 全体の約25%(723者/2,823者)が1年間で1件以上の成約実績があると報告している点
興味深いところは、全国でM&Aの業務を手掛ける業者が約3,000者(社)も登録しているにも関わらず、全体の1/4しか機能していない(経験の浅い業者が大半)ということです
国としては、2021年4月に「中小M&A推進計画」という5か年の中期計画を策定しているのですが、
現時点の国内アドバイザーの実力値は、年間で約4,000件をさばくのがやっとです
潜在的な(対応が必要な)譲渡先が全国に60万者ある中で、現在の実力値では単純計算でも150年程度かかってしまう計算です・・・
実際はその前にほとんどの先が廃業していくと思われますので、すでに対応が遅いのかもしれませんがM&Aのアドバイザーの増員及び育成が急務となっているのです
5.まとめ
この記事では、私が相談をいただいた経営者から多くいただく質問に対する回答として、国が創設した機関(M&A支援機関)の内容とともに、名称(キラーワード)を伝えていただくことをおススメしている点をお伝えしました
すでにご存じの方もみえたかと思いますが、意外と周知がされていませんので、参考いただければと思います
あくまで私見ですが、上記のような規制団体はできましたが、アドバイザー自体の質を向上していかない以上、あまたあるM&A業者からの苦情やクレームは急には減っていかないような気がします・・・
規制団体の役割には、アドバイザーの質の向上も含まれていますので、これから期待したいところです
記事中にお伝えしました「M&A仲介協会」なるものは、後ろ盾として国(中小企業庁)が見え隠れするものですが、これから「登録制」から「許認可制」へ移行するための準備?として既得権益を狙っているのかどうか・・・
お金のニオイがするのは私だけでしょうか・・・
など不透明な部分を感じるこの頃です
これ以外の対処方法として、これから残り4回に分けてお伝えしていきますので、お楽しみにっ!
最後までお読みいただきありがとうございました!
おわりっ
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