事業承継 事業承継税制の活用を検討されている方必読 継続届出書の落とし穴

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この記事では、法人版の事業承継税制の活用を検討されている方へ、気をつけるべき点について、これまで相談を受けてきた中で問い合わせが多かったものを中心にご紹介していきたいと思います


1.事業承継税制の制度は知られていない?

事業承継税制は、後継者(受贈者)が株式承継時に一定の要件を満たすことで納税(贈与税・相続税)の猶予または免除を受けられる制度です

はじめにお伝えしておきますが、どんな税制もメリット・デメリットはあります

これまでいろんな方からの相談を受けてきましたが、この点を理解されていない方が非常に多いです

特に一番多いのは、

税理士の〇〇先生から自社株の相続税がゼロになると聞いた・・・

雑誌や新聞記事で自社株の相続にかかる税金がずっとゼロになると聞いた・・

といったものです

口に出しては言えませんが、

税金がゼロというのは何を根拠におっしゃってるのですか❓

きちんとデメリットを確認していますか❓

税理士の先生はきちんと申請後もサポートをしてくれますか❓

とアドバイザーの立場から聞いてみたくなります

そうなんです!

この制度にデメリットがある点取消要件がある点をきちんと理解しないまま検討されている方が多いんです

なぜかと言うと、実際に事業承継税制をきちんと理解されている専門家が少なく、説明すらされていないからです

この制度は、

もともと15年前(2009年)からスタートした従来の事業承継税制(一般措置)のオプションとして設けられた「特例」ができた点

改正による要件緩和が後出しで複数回出ていることもあり、実際に実務として申請サポートを継続している方でないとよく分からない制度となっています

また、申請後の管理サポート(年次報告、継続届出)までを責任もって行ってくれる専門家は、ほとんどと言っていいほどいないのが現状です

この税制を薦められる専門家の方は多いのですが、これからお伝えする申請後の管理サポートに関する話題を出したとたんに、

私の方では管理サポートはできません

という回答をされ、自己責任で管理するよう促されたと説明されるケースが多いように感じます


2.事業承継税制は各種届出がややこしい!

この制度を活用する上で、気をつけるべき点は多くあります

その中でも、専門家が一番避けたがる(責任を背負いたくないと考える)点が「活用後の届出」です

簡単にお伝えしますと、贈与税・相続税の納税猶予を活用する場合は、

  • 活用後5年間(経営承継期間内)は、「年次報告書」を都道府県に、「継続届出書」を税務署毎年提出する必要があります
  • 経営承継期間後(6年目以降)は、「継続届出書」を3年に1回の頻度で税務署へ提出し続ける必要があります

「継続届出書」は、次の後継者への贈与や相続による承継が行われるまで(制度を活用したらずっと)、提出期日までに提出し続ける必要があるので非常に大変ですし、厄介です💦

税務署から令和5年6月に、「継続届出書の提出について」という文書が出ていますので、こちらも是非参考になります


3.安易に選択すると落とし穴が・・・

ここで問題になるのが、制度活用後6年目以降で3年に1度提出する「継続届出書」(書類の提出が簡易となった後)の提出を忘れてしまうという点です

なぜ忘れやすいかというと、「提出期限」「贈与税・相続税の申告期限」をベースにしているからです

決算期末や決算申告期限が提出期限となっていれば、まだ気づきやすいのですが、この「提出期限」がバラバラとなっている点が非常に厄介なのです

「継続届出書」を期日までに提出しない場合(1日でも遅れた場合)は、ペナルティとして猶予されている贈与税・相続税の全額と利子税を納付する必要があります

ペナルティの金額例として、例えば2億円の自社株を後継者へ贈与した場合、

50%の1億円が猶予されるわけですので、ペナルティは最低でも1億円以上となります・・・

経験では、私が直接サポートの関与をしていない先でしたが、顧問税理士の管理不足により実際に取消事由に該当してしまい、納税をされた先があります・・・😢

当然ですが、個人事務所の税理士となりますと、数千万円の規模になる納税になると、資力がなく賠償なんてできませんので、泣き寝入りをするしかありません


4.何かいい方法はあるの?

対応策として、有償にはなりますが、長期に渡って事務所自体がなくならない大手税理士法人などで、各報告期限の管理をシステム化している専門家へ相談する方法があります

納税を猶予して事業承継を円滑に進めるために創設された制度ですが、事務手続きのための管理費用が後継者に圧し掛かるというのも何とも酷な話です・・・

事業承継税制はあくまで納税の猶予(繰り延べ)あることを念頭に、万が一取り消しとなった場合には、「後継者」にペナルティが課される点をよく考えておく必要があります


5.まとめ

この記事では、事業承継税制を活用する際の注意点のうち、「制度活用後の管理」について思わぬ落とし穴がある点をお伝えしました

実際に活用を検討されている方は、まずは「この点をきちんとサポートしてもらえる専門家へ相談しているか」確認してみてはいかがでしょうか?

最後までお読みいただきありがとうございました!

これからよろしくお願いします!

おわりっ

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