この記事ではM&Aのアドバイザーがよく使用する「仲介」と「FA」というキーワードの違いや留意点についてご紹介します
この違いは、アドバイザーの重要説明事項にも該当していますので、M&Aのご経験がない方は特に知っておいて損はないと思います
1.仲介とFAの違いって何?
簡単にお伝えしますと、下記の通りサポートの形態の違いから2つの区分をしています
- 「仲介」は、売主と買主の「両方」で同じアドバイザーがアドバイスをすること、手数料は売主と買主の両者からいただくことを意味します
- 「FA」は、「ファイナンシャル・アドバイザー」の略で、売主と買主のどちらか「片方」へアドバイスをすること、手数料は売主と買主どちらか一方からいただくことを意味します
という違いがあります
傾向としては、
- 「仲介」は、中小企業向き
- 「FA」は、大企業向き
といった感じのイメージです
それは、下記の通り2つの形態のメリット・デメリットがあります
それでは、メリット・デメリットを形態別に見ていきたいと思います
「仲介」のメリットは、
- 売主と買主の間に入って交渉を進めるため、情報のやり取りに無駄がなく、効率的な交渉が可能
- 手数料の割引交渉が場合によっては可能
というものがある反面、デメリットとして
- 売主と買主で本来は交渉条件が対等であるはずが、「買主側」の意向を重視しがち
- 売主側の主張が軽視される場面があり、不利な立場(利益相反)となりがち
「FA」のメリットは、
- 売主と買主の両者の利益が最大化となるような交渉が可能
というものがある反面、デメリットとして
- 片方の立場同士で交渉するため、条件交渉がまとまりづらく、交渉に時間がかかる
というものがあります
M&Aの交渉を効率的に進めるため、仲介会社などでは特に中小企業の案件に携わる際は「仲介」でサポートをすることが一般的となっています
近年では上記の違いをきちんと説明し、理解をいただいた上で交渉を行うというルール(中小企業庁のガイドライン)があるのですが、現実はきちんと説明を受けていない経営者の方が多いです
M&Aの世界では、不動産業者の方々が受ける「規制」というものが現時点ではなく、不動産業界では禁止となっている「案件の囲い込み」というのが、業者間で当たり前に存在しているのです
この点から、2024年4月からM&Aのアドバイザーに対する規制の一環として、ガイドラインが改訂されており、M&A支援機関(別の記事でご紹介します)に登録している業者は、より一層の説明責任が求められています
2.「仲介」の場合はこの点に注意!
結論からお伝えしますと、
中小企業庁の2022年度集計結果では、年間で約4,000組のM&Aが成約しています
下記引用の2022年度資料によると「仲介」と「FA」の利用割合は、およそ
- 仲介:FA =8:2
という結果が出ています
登録支援機関を通じた中小M&Aの集計結果 | M&A支援機関登録制度
これは何を意味するのかというと、
中小企業のM&Aの大半は、「仲介」つまり
売主と買主で「同じアドバイザー」が仲人としてマッチングを成約している
ということです
ここで注意しないといけないのは、「仲介」といっても
- 同じアドバイザー(人物)が担当している場合
- 同じM&A会社のアドバイザーが担当しますが、売主と買主の担当者が異なる場合
の2つのパターンが存在するということです
この記事を読んでいただいている経営者の方は、恐らく「仲介」の立場で提案を受けられている方が大半ではないかと思いますが、どちらのパターンに該当されていますでしょうか?
中小企業のM&Aというのは、組織や社内規定などがきちんと整っていない会社同士で交渉を進める場合が多いです
そのため、後者の場合のように、同じM&A会社が担当していても、売主側と買主側で「担当する人物が異なる場合」はどうしても担当者の力量や経験の差から、情報がうまく伝わらない場合や、物事の考え方(認識)の違いなどから
- 思わぬトラブルに巻き込まれたり
- なかなか成約まで交渉がまとまらない
といった場面に遭遇されている先が多いように感じます
私も実際に上記の問題に遭遇されている先から相談を受けたことがありますので、注意が必要です
3.まとめ
この記事では、M&Aのアドバイザーがサポートを行う際の形態の違いについてご紹介をしました
中でも一般的となっている「仲介」には、場合によって上記のように思わぬ盲点が潜んでいることもありますので、注意が必要です
最後までお読みいただきありがとうございました!
今後も経営者の皆さまのお悩みが少しでも解消することを祈って、記事作成をしていきたいと思います
おわりっ
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